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バウムクーヘンの写真がプリントされたTシャツ。
ボディはコーラルピーチカラーで、これからの季節に使いやすい明るい色です。
これ一枚でも様になるだけでなく、インナーとしても合わせやすく愛用していただけるかと思います。
生地はコットン100%で肌触りも良く、抗菌防臭、制菌加工で汗や室内干しの匂いを大幅に軽減されており、透けにくい素材となっています。
ボディサイズは1st page seriesのTシャツと同じで、今回からLサイズが追加されています。
身幅に比べて着丈の長さが短めに設計されているので、大きめサイズでもおしゃれに着こなしやすいです。
素材 : コットン 100%
カラー : コーラルピーチ
サイズ : S / M / L
男性モデル着用サイズ L H179cm
女性モデル着用サイズ M H157cm
[サイズ S] 着丈 68cm / 身幅 56cm / 肩幅 51.5cm/ 袖丈 19.5cm
[サイズ M] 着丈 70cm / 身幅 58cm / 肩幅 53cm/ 袖丈 20.5cm
[サイズ L] 着丈 72cm / 身幅 60cm / 肩幅 54.5cm/ 袖丈 21.5cm
発送目安日: お支払い確認後一週間以内
the story for this item
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「人生はバウムクーヘン」
写真のバウムクーヘンのレシピ
・砂糖 20g
・はちみつ 大さじ1/2杯
・牛乳 100cc
・卵 1個
・ホットケーキミックス 100g
・無塩バター 20g
・バニラオイル お好みで
「いっちゃん、同窓会楽しかった?」
最寄駅から家までの帰り道で、南美が尋ねる。
俺は「んー」と曖昧な返事をした。
さっきまで五年ぶりに同窓会に参加していた。その帰りに、たまたま南美とタイミングが合ったから、駅から家まで一緒に帰ることになったのだ。大学生の頃に出会った俺たちは、社会人になって同棲を始めた。
「何その反応。微妙だったの?」
「まぁ」
別に、楽しくなかったわけではない。ただ、モヤモヤした。
何度も同じようなことを言われたからだ。
——キャラ変わったよな。
そう。そればっかり。
キャラってなんだよって思う。
俺は昔の自分が嫌いだった。だから努力して昔より少しでも見た目も良くなろうと思ったし、性格も明るくなろうと思った。昔の自分なんてどこかへ捨てて、変わったところ見て欲しいと思ったのだ。
だけど、その変化を馬鹿にされたような感触が、今もずっと胸に残っている。
こんなことでモヤモヤしてる自分は、まだまだ子どもだなと思う。
南美は少し心配そうな顔をしたけれど、この話題を引きずらない方がいいと思ったのだろう。
「ねぇ、バウムクーヘンってどうやって作るんだろうね」
交差点の角にある洋菓子屋さんの前で立ち止まって、急にそんなことを言った。
「なんか、丸い筒で焼くんじゃない? そういう図、どっかで見たことある気がする」
「あー、だから真ん中に穴が空いてるんだ」
「うん。多分、専用の機械があるんだよ」
きっと工場にはそういう大きな機械が並んでいて、日々音をたててバウムクーヘンが作られているのだろう。
「ってかなんでバウムクーヘンが気になったの?」
「好きだから、家で作れないのかなって思って」
「家では無理じゃない? ってか、南美がバウムクーヘン好きなんて初めて聞いた」
「言ってなかったっけ」
信号が変わって、二人は並んで歩き続ける。俺は一分もすれば、もうそんなバウムクーヘンの話をしたことなんて忘れていた。
だけど家に帰ってから、スマホを見ていた南美が突然大きな声を出す。
「ねぇ、意外と家で作れるかも!」
「え、何が?」
「バウムクーヘン」
「嘘」
「これ見て」
南美が俺に見せてくれたのは、お菓子のレシピサイトだった。
読んでみると、フライパンで作れる方法がそこには紹介されていた。
「いっちゃん、料理得意だから作れるんじゃない?」
「え、俺が作るの?」
「新しいことやるの、楽しいじゃん。明日一緒に作ろ?」
南美の提案で、次の日本当に家でバウムクーヘンを作ることになった。
レシピは、砂糖と蜂蜜と牛乳と卵、それからホットケーキミックスと無塩バター。欲を言えばバニラオイルも必要らしい。
スーパーに行って必要なものを買い揃えたら、早速二人でキッチンに立った。
「まずは、生地を作ろうか」
レシピ通りにボウルに材料を入れ、しっかり混ぜて生地を作る。その間に南美はアルミホイルで筒を作ってくれた。
「綺麗な筒になったよ」
あとはその筒を中心に巻き込みながら、生地を焼いていく。やることはだし巻き玉子と同じだ。
今まであまりバウムクーヘンを観察してこなかったが、穴が空いているということに加え、生地が層になっているところもバウムクーヘンの特徴だ。
調べてみると、バウムクーヘンはドイツ語で「木のケーキ」を意味するらしい。なるほど、確かに層が年輪みたいになっている。
「いっちゃん手際いいね」
「だし巻き玉子と一緒だからね」
俺は南美に見守られながら、アルミホイルを巻き込んで少しずつ生地を焼いていく。だし巻き玉子は得意料理だったので、生地をくるくる回していくのには慣れている。
このやり方なら、家でバウムクーヘンが作れる。このレシピ、考えられているなと思った。
ただ、レシピを見ながらでも思った通りにいかないのがお菓子作りだ。
「なんかこれ……違うよな」
出来上がったバウムクーヘンは、想像していたよりも歪な形になってしまった。全然丸くない。ちゃんとアルミホイルを巻き込んで作ったはずなのに。
「生地が分厚いところと薄いところがあるね」
南美が指摘した。おそらく原因は、四角いだし巻き玉子の感覚でやってしまったからだ。丸いバウムクーヘンでは、一つ一つの微妙な生地の厚さの違いが見た目の歪さに繋がってしまう。
「これは失敗だな」
「でも、これはこれでいいと思う。人生みたい」
「人生?」
「うん。色んな形が層になってて、それで一つの形になってる。いっちゃんだってそうでしょ?」
「……」
俺は黙って考える。南美の言葉は、ちょうど俺がモヤモヤしていたことと重なった。
昔の自分があるから、今の自分がある。誰になんと言われようと、そんな風に考えられたら、俺は今の自分にもう少し自信を持てるようになるかもしれない。
「人生はバウムクーヘン……」
俺は呟いて考える。
もしかして南美は、俺の悩みを見抜いてバウムクーヘンを作らせたのだろうか。
……それはさすがに考えすぎか。
「いっちゃん、これ食べてみていい?」
「うん、一緒に食べよ」
切ったバウムクーヘンを、それぞれフォークで食べてみる。
「……うーん」
イメージしてたバウムクーヘンの味からはほど遠い。どこかで食べた気がする。この味は確か……。
「……ベビーカステラだ」
俺は思い出して言った。きっと生地を作るのに使う材料が、ベビーカステラと同じなのだろう。
「ほんとだ、ベビーカステラの味だね」
「どこかで分量間違えたのかな」
「でも、ベビーカステラも好きだからこれでいいよ」
人生はバウムクーヘン。その味はベビーカステラ。
それも悪くない気がして、二人で笑った。
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